方舟航海日誌 10
草刈り
草刈りがこの日誌の題名に相応しい話題かどうか、少し疑問があるけれども、農山村の生活において草刈りは手を抜くことが難しい仕事であるので、記録しておきます。
2026-05-13
写真は私の草刈り道具一式。左下から
ボビンに巻いたナイロンコード
ナイロンコード
背負い式エンジン草刈機
フェイスガード
防護エプロン
混合ガソリン
当地では石垣に生えた草を刈る必要があるので、円盤形のノコギリ刃よりもナイロンコードをよく使います。このナイロンコードは集落農会経由で JA から買ったものなのですが、ラベルを読むとイタリア製であることが分る。イタリアでも草刈りをするらしい。当り前か。
これを短く切って(3~3.5m)ボビンに巻き、草刈機のナイロンコード用ヘッドにセットしてぶん回します。鋭利な刃物で切るというより、紐でこすって千切るようにして草を刈ります。
ノコギリ刃より土や石を跳ね飛ばしやすいので防護具は必須。私は長袖、長ズボン、手袋着用の上、フェイスガードとエプロンをします。
草刈機の燃料はガソリンに2サイクル用オイルを混合したもの。混合済みのものが GS でもホームセンターでも販売されているけれど、割高なので、ガソリンとオイルを別々に買って調合する場合がほとんどです。
ガソリン、なんだよね。バッテリー式のも販売されているけれど、今までは見向きもしなかった。
写真に写っていない草刈り道具としては、
混合油調合容器
別のエンジン草刈機
各種長靴
があります。
写真の草刈機はエンジン部分を背中に背負う形ですが、かなり昔に買ったエンジンを棹(さお)の根元に直接付けた形の草刈機も手放さずに置いています。2台あると、ナイロンコードとノコギリ刃(チップソー)を使い分けやすくなるので便利なんですよね。
長靴は、普通の長靴、水田用の細身の長靴、斜面用のスパイク付き長靴の三種類を使っています。
草刈り、何でするのか分らなくなるときがある。
草刈りをしたくない理由はたくさんある。
「草刈りをしなくても米は出来る」
「今刈っても半月後にはまた伸びている」
「どうせ秋になったら枯れる」
「今日は雨だ」
「今日は晴れて暑い」
「今日しなくても明日すれば良い」
「草刈りをしなくても死なない」
まあ、部屋の掃除をしない理由に似ているかな。
生産設備である農地も含めた生活環境の保守作業なので、これで良い、これで十分という終りはなくて、継続的にやらなければならない。
昔は周囲の里山まで生活環境に含まれていて、メンテナンスされていた。今は全然ダメだけど。
熊が市中にまで出没するようになったのは、人間の生活環境が荒廃してきて、ここから先は人間の縄張りだという境界線がゆるくなったからだと思う。
という訳で、草刈りは縄張りを示すマーキング行動である、と。
2026-05-15
写真は、草刈り前の様子と、途中経過。
対象の場所を一往復して、二往復目の復路の途中でナイロンコードが尽きたために休憩しているところです。
一回目の往路で小径を刈って、復路で小径と石垣下部のつなぎ目を刈る。二往復目の往路で石垣の中ほどを刈り、復路で上部を刈るという段取りでやっています。草刈機の棹(さお)を上下左右に大きく振らない方が腕も楽だし、視線の移動も少なくて刈るべき草の見逃しが少ないのです。
草刈りの仕方については各々好みがあって、集落で寄り集まると草刈りの蘊蓄を披露し合う事があって面白いですよ。
草刈り専門の YouTuber が存在するぐらいなのでこの世界も奥が深い、、、かな?結局は体力と忍耐力だと言う、身も蓋もない話になりそうだけれど。
なお、小径から下の石垣は、水田に入らないと草を刈ることが出来ないので、別の日に、水田用の長靴を履いて草刈りをする予定。
午後はトラクターの耕耘回転爪を草刈機に付け替えて休耕田の圃面の草刈りをした。
この草刈機はハンマーナイフ・モアと言って、回転軸に付けられた多数の鉄の爪が草をバリバリ粉砕する豪快なやつで、平坦な広い地面ならこれが圧倒的に効果的です。集落の共同所有物。
畔際の草は刈りきれないし、石垣はもちろん無理なので、別途、ナイロンコードの草刈機などを使って刈ることになります。
小型のリモコン草刈機などには斜面でも草を刈ることが出来るものもあるのですが、さすがに石垣で使えるものは聞いたことが無い。どこかのメーカーが作ってくれたら嬉しいが、まあ、作らんよね。需要が小さすぎて駄目でしょう。実現するとしたら、教えれば石垣の草刈りも出来るような人型汎用農作業ロボットの方が先かな?
2026-05-17
上の写真、右側の石垣と奥の石垣の下半分は、水田に入って草を刈った。
そして、ここが面白いところなのですが、これらの石垣は私の所有する不動産ではない。これらの石垣はその上にある田圃と一体のものであり、その田圃の所有者のものなんです。だから災害などで石垣が崩れた場合は、上の田圃の所有者が費用を負担して修繕することになります。
しかし、草刈りはそれとは別で、下の田圃からでないと刈れない石垣は、下の田圃の耕作者が草刈りをし、田圃に入らずに草を刈れるところ、写真で言うと奥の石垣の足場がある所から上の石垣と斜面は、上の田圃の耕作者が草刈りをするというルールになっています。
このルールは年配の人ほど厳格に守る傾向があって、それは草も家畜の飼料として利用されていた頃の名残だろうと思う。権利としての草刈りなので境界線を越えるべきではなかった訳です。今では義務としての草刈りでしかないので、本来ここは誰某の担当だけれど、まあ、ついでに刈っておいてやろう、ということも多くなった。現に私も、奥の石垣の上半分はKくんの担当なのだが、彼は斜面しか刈らないな、でも、まあ良いか、と毎回思いながら刈っている。
誰でも、多かれ少なかれ、そんな感じ。それが、ちょっと仲違いしたりすると、ふん、これ以上は絶対に刈ってやるもんか、という事になるのが見ていて非常に面白い。
2026-05-21
バッテリー駆動の草刈機を買おうかな、と思っている。
もちろん、安い買い物ではないのだけれど、この際に少しでも生活環境の脱石油化を進めたい。
先日、電動三輪車を買ったことが Tさん(妻)にバレて(え?隠してたの?)「無駄遣いをして」と不興を買ったばかりなので、若干、躊躇いがある。
隠していたのは良くなかったと思うけれど、もう少し事態が逼迫してからの方が理解を得やすいだろうという算段もあった。先日も、電動三輪車を買った理由を説明したら「はぁ?」と言うので、「理屈に合わんか?」と尋ねたら「分らん」と言う。理屈は分るが納得できない、という様子。多分に、世間一般と異なる考えや行いを平気でする夫に対して、心情的な不安が大きいんだと思う。
で、やっぱり、こっそり買うかな?
幸いと言うか何と言うか、太陽光パネルを屋根に上げたのが非常に大きな効果を発揮して、ある意味で発揮しすぎていて、ほぼいつでもポータブル電源が満充電状態で、せっかくの太陽光エネルギーを捨てている。電動三輪車の充電だけでは使い切れないのである。夏場の太陽光エネルギー利用先として草刈りは丁度良いと思う。
買うとすると、Makita の 40Vmax バッテリー仕様の草刈機か、それとも、もっと強力な EGO の 56V 仕様の草刈機か。
しかし、限られた資金の投資先として、草刈りをどれだけ優先すべきか、判断しかねている。








こんばんは。とても興味深かったです。
私は今海外にいるのですが、前回日本に帰った時にあちこちの雑草がすごいな、と思ったことを思い出しました。国道沿いですら鬱蒼と茂っていました。なんだかみすぼらしくて、日本が貧乏になってしまったのかなとか考えたりしました。20年前はこんなじゃなかったのに、と。ところが、国道を離れて田舎道や山道に行くと、再び美しい風景になるのです。もちろんそれは場所にもよるのでしょうが、複数の県で思ったことでした。それはこうやってきはらさんのような方たちが草刈りをしてくれていたからなのだということ、それはその方たちにとっての必要性があり生活の一部であると承知しつつ、ありがとうございます。